序章:販路開拓・広告宣伝への投資を後押しする持続化補助金\n\n小規模事業者が直面する課題の一つに、効果的な販路開拓や広告宣伝活動があります。しかし、限られた予算の中で十分な投資を行うことは容易ではありません。このような課題を解決するために活用できる代表的な制度が「小規模事業者持続化補助金」です。\n\n本記事では、この小規模事業者持続化補助金の申請を検討している事業者の方々に向けて、申請準備から提出までの具体的な手順を5つのステップに分けて解説します。公式情報に基づき、実務的な視点から注意点も交えて説明するため、初めて申請する方でも全体像を把握し、手続きを円滑に進めることができます。\n\n\n
ステップ1:公募要領の精読と対象要件の確認\n\n補助金申請の第一歩は、公式に発表されている「公募要領」を徹底的に読み込むことです。公募要領には、補助金の目的、対象者、対象経費、申請スケジュール、審査基準など、申請に必要なすべての情報が記載されています。\n\n特に重要なのは、自社が「対象者」の要件を満たしているかどうかの確認です。小規模事業者持続化補助金では、業種ごとに常時使用する従業員の数で定義されています。\n\n- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く): 5人以下
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宿泊業・娯楽業: 20人以下
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製造業その他: 20人以下\n\nこのほか、資本金や特定の法人形態(医療法人、学校法人など)が対象外となる場合もあります。公募回によって要件が変更される可能性もあるため、必ず最新の公募要領で自社の状況と照らし合わせてください。\n\n\n
ステップ2:商工会・商工会議所への相談と「事業支援計画書」の作成依頼\n\n持続化補助金の申請には、地域の商工会または商工会議所との連携が不可欠です。申請書類の一部である「事業支援計画書(様式4)」の発行を依頼する必要があるためです。\n\nこの手続きには時間を要するため、締切から逆算して早めに相談を開始することが重要です。\n\n1. 管轄の商工会・商工会議所を確認し、連絡を取る。
- 作成した経営計画書・補助事業計画書(後述)の草案を持参し、事業内容について相談する。
- 専門の経営指導員からアドバイスを受け、計画書をブラッシュアップする。
- 内容が固まったら、事業支援計画書の発行を正式に依頼する。\n\n締切間際は窓口が混み合うため、少なくとも締切の1〜2週間前には依頼を完了できるよう、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。\n\n\n
ステップ3:申請の核となる「経営計画書」と「補助事業計画書」の作成\n\n審査で最も重視されるのが、「経営計画書(様式2)」と「補助事業計画書(様式3)」です。これらの書類で、自社の事業内容と今後の成長戦略、そして補助金を活用して何を実現したいのかを具体的に示す必要があります。\n\n経営計画書で記載する主な内容:
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企業概要
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顧客ニーズと市場の動向
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自社の提供する商品・サービスの強み
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経営方針・目標と今後のプラン\n 補助事業計画書で記載する主な内容:
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補助事業で行う事業名(例: 新規顧客獲得のためのWeb広告出稿及びLP制作)
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販路開拓等の取組内容(具体的かつ詳細に)
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業務効率化の取組内容(任意)
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補助事業の効果(売上増加の見込みなどを数値で示す)
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経費明細表(ウェブサイト関連費、広報費などの内訳と金額)\n
特に、広告宣伝費を申請する場合、「なぜその広告手法なのか」「ターゲット顧客は誰か」「どのような効果を見込んでいるのか」といった点を、第三者が見ても明確に理解できるよう、論理的に記述することが採択の鍵となります。\n\n\n
ステップ4:電子申請の準備(GビズIDプライムアカウントの取得)\n\n現在、多くの補助金申請は、政府共通の認証システム「GビズID」を利用した電子申請システム「Jグランツ」で行うのが主流です。持続化補助金も原則として電子申請が推奨されています。\n\n電子申請には「GビズIDプライムアカウント」が必要です。このアカウントの発行には、申請から2〜3週間程度の時間が必要です。\n
アカウント取得の流れ:
- GビズIDの公式サイトからオンラインで申請書を作成。
- 申請書を印刷し、代表者印を押印。
- 印鑑証明書(発行3ヶ月以内)と共にGビズID運用センターへ郵送。
- 審査後、メールで承認通知が届き、パスワードを設定して完了。\n 公募が始まってから慌てて取得しようとすると、締切に間に合わないリスクが非常に高くなります。補助金活用を検討し始めた段階で、真っ先に取得手続きを進めておくことを強く推奨します。\n\n\n
ステップ5:Jグランツでの申請と採択後の流れ\n\n必要書類がすべて揃い、GビズIDの準備もできたら、いよいよ申請手続きです。\n
- JグランツにGビズIDでログインし、小規模事業者持続化補助金を検索して申請画面に進む。
- 申請者情報を入力し、作成した経営計画書や補助事業計画書などの電子ファイルをアップロードする。
- 商工会・商工会議所から受け取った「事業支援計画書」も忘れずに添付する。
- 入力内容に誤りがないか最終確認し、申請ボタンを押して完了。\n 申請後は、事務局による審査が行われ、後日採択結果が発表されます。無事に採択された場合も、そこで終わりではありません。計画に沿って事業を実施し、期間内に経費の支払いと実績報告を行う必要があります。すべての手続きが完了し、検査を経てから補助金が支払われるという流れを理解しておくことが大切です。\n \n
申請時の注意点とよくある不備\n
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公募要領の確認不足: 対象外の経費を計上したり、必須書類が不足したりするケースが後を絶ちません。細部まで熟読してください。
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計画書の具体性欠如: 「売上を伸ばしたい」といった抽象的な表現ではなく、「誰に、何を、どのように提供し、結果として売上がXX%向上する」というように、具体的・計数的に記述することが求められます。
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締切直前の手続き: GビズIDの取得遅れや、商工会・商工会議所への相談遅れは、申請機会そのものを失う原因となります。すべての手続きは、前倒しで進める意識が重要です。\n
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